2011年5月15日日曜日

マラウィとジンバブエ。

マラウィーからジンバブエへ移動してきました(出張です)。

マラウィーを訪れるのは初めてだったのですが、空港からホテルまでの風景は、まるでナショナルパークの中を走り抜けているよう。街中も緑あふれ、高層ビルなどないし、車もあんまり走ってないし(最近のアフリカ諸国の大都市は、渋滞がえらいこっちゃなので。)、延々と広がる緑と遥か彼方に見える山々に心癒されました。最近わたくしは疲れているようで(歳をとったとも言う)、時間があれば、できる限り自然回帰したい傾向がありまして、「あ~、天国だ」と思ってしまいました(実際に、マラウィー人の同僚が「あや、きみはパラダイスに行くんだね」と行って見送ってくれたのでした)。

Lilongwe空港から町までの風景。さすがに町には建物ありますが、20時頃出かけたら(1人じゃないよ)、人っ子一人いないし、車もゼロで、街灯もほとんど無くて、星がいっぱい見えました。



一方のハラレの風景。大きな違い。どこのヨーロッパの都市に来たかと思ったよ。



マラウィーがイギリスから独立したのは1964年。それ以来一党制支配が30年以上続いたマラウィーでは、国民が徹底的に抑圧されて、女性はズボンもミニスカートも禁止だわ、男性は長髪禁止だわ、テレビも所有できないわ・・・で、いつしか世界の最貧国の1つに転落してしまったと。一方のハラレは1980年まで長々と、ローデシア(白人が実質支配していたザンビア+ジンバブエ)の首都Salisburyとして発展し続けたというわけらしい。早くに独立できたほうが良かったのか悪かったのか。

でも、そんなLilongweでも、ご飯は美味しいし(米とティラピアの組み合わせ。もう言うことありません。)、いまやなんと水道水が飲めちゃうし。某統計データによれば、都市部のTreatment water coverageは95%以上!(世銀が90年代後半に上水処理場建設に投資している模様) そんな「途上国」ありますか?下痢ぴーぴーで仕事にならないとまずいので、迷った末(迷うな)チャレンジしませんでしたが、まぁ実際には、シャワーの水から塩素臭がかすかにする気がしたので、やっぱり飲まなくて正解だったかもね。。。( ̄▽ ̄;) でも人々もほがらかで、同僚ケニア人が「夢の国だわ。もうナイロビの生活に疲れたから、あたしはここ移住するわ。仕事さがそ。」と言ってました。



ところで、ジュネーブからここまで、大変な長旅でした。アディスアベベで乗り継ぎだったのですが、アディスからLilongweまでのフライトには、アフリカ人もおれば、インド人も中国人も大量にいるし、もちろん白人もいるし、イエメンから来た、という青年たちもいました。「いま、イエメンの状況はどうなの?テレビじゃ紛争で大変そうだけど」と言ったら、「え?テレビを信じちゃいけないよ。僕はSana’aからカイロまで普通に旅してきたけれど、まったく紛争なんかなくて、平和そのものだったよ。テレビで映しているのは、ほんの一部だよ。」と言っていました。人懐っこくて可愛らしい青年たちでした。

中国人たちは一切英語が話せず(だから、フライトアテンダントとコミュニケーション取れない)、99%男性なのですが、年齢もそれほど若くない。40代以上でしょうか。家族から離れ離れで、未知の遠い遠い果て、マラウィーまで送られて、きっともらえるお給料も微々たるもので(現地人を雇わずに中国人を大量に送ってきたほうが安い、というあたり、いかほどかと。。。ま、中国人を使うのは賃金だけの問題ではないんでしょうが)。まさにChinese soldiers。人権って。。。複雑な気持ちで彼らを見守ってしまったよ。

とにかく、いまやアフリカどこに行っても、中国人が大量におります。建設中の道路やら空港やらホテルやら、ほとんどは中国企業によって建設されていると言っても過言ではありません。Lilongweでも、中国企業が、霞ヶ関(マラウィーの)のまん前に超巨大なコンフェレンスセンターと5つ星ホテルを建設中でした。これまで、アフリカ人の中で、これら中国人の評判はすこぶる悪いと思っていましたが(現地人労働者の扱いがひどいとか。時々、建設現場で暴動が起こったりしているよう。中国人をあえて送りこんでくるのは、文句言わずに働くから、という理由もあるのでしょう。それから、現地人を雇わないし、資材もなんでもかんでも中国から激安のものを運んでくるので、現地で雇用機会がそれほど増えず、お金も落とさない。現地の商売がつぶされる、などなど)、今回一緒に仕事をしているケニア人は

「いやいや、むしろ中国人がどしどし、インフラを整備してくれるから、本当に助かるわ。これで、発展の土台ができる。」

と言っていました。ちなみに彼女いわく、

「中国人は、刑務所に入れられていた囚人を労働者としてアフリカに送ってくるんだよ。その中国人たちが最近、現地のアフリカ人女性たちと子供をつくって、でも、時期がきたらその労働者たちは中国に連れ戻されちゃうから、父無し子が増えて、さらに女性たちのほうに『あなたの子供の父親は誰?』って聞いても『中国人はみんな同じ顔に見えるから、分からないわ。名前はチンチン(中国語が発音できない・・・)。』ってみんなが答えるの。新たな社会問題よー」

って爆笑してました。労働者として送られてくるのはみんな囚人、というのには私は懐疑的ですが、そもそも笑い事か。( ̄▽ ̄;) アフリカ企業、負けないで頑張ってちょうだいよ。

Lilongweからヨハネスブルクへの飛行機の中では、めずらしく中国人(風)ファミリーを見ました。家族でマラウィーに商売しに行ってるのかもな、と思ってたら、途中で中国語で話しかけられ、聞いたら、台湾人とのことでした。そういえば、オフィスのドライバーが、

「マラウィーに最初に入植してきたのは台湾人なんだけど、台湾人はいつしか去って、それから中国人が入ってきたんだ。まぁ、中国人も台湾人も同じだけどね。ははは」(台湾人が聞いたら怒るでしょう)

って言ってたので、まだ残っておられる台湾人ファミリーだったのかもね。

アフリカと中国人、今後の発展と交わり、いつも興味深く眺めています。なにせ、どこにいっても「よーチャイナ!」って話かけられるんだもの。昨日も機内で隣に座ったマラウィー人に「おっ、中国語を教えてね♪」って嬉しそうに言われたよ。

4 件のコメント:

  1. シャワーの水から塩素臭がするのは、
    きちんと塩素消毒されている結果であって、
    むしろ「安全な証拠」ですよ!
    どうぞ安心して飲んでください(笑)

    アフリカ(だけじゃなく途上国全般だけど)での、
    中国人のやり方は正直気に入りませんが、
    現地の人がそれで良いと考えているなら、
    第三国が口をはさむ問題ではありませんね。
    どちらが騙して、どちらが騙されているのか、
    見る角度によって全然違って見えるのかも。

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  2. >なまはげさん

    バクテリアはいなくなってるんだろうけど、塩素水が香るほどの水道水って、逆に残留塩素(の副産物)、大丈夫・・・?まぁ、2,3日飲む程度なら心配することないんでしょうが(笑)。

    中国のやり方、私もこれまで否定的だったんですが(いや、いまもです)、違う角度で見てみると、中国企業と競争して勝てない現地企業にも問題があるんですよね。例えば、海外からの支援が入りまくっているおかげで、色々な単価がつりあがっているし、それを下げて競争に勝とう、という気概がないとか。現地政府にしても、現地企業を守りながら中国と手を組んでWin winに持っていく方法があるだろうに、それができていないとか。昨日、今度は空港で、南アで建設会社を経営しているというジンバブエ人と話したんですが、中国企業のアフリカ進出は、競争を作り出したという点でよいことだと言っていました。

    色々な角度で見てみると、結局、結果として国民全体のWealthの増加に繋がっているという点で、中国企業のアフリカ進出は「吉」なんだろうなと。今後の両者の発展が気になるところです。

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  3. ごはんがごはんがうまそうじゃーー!!
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    アフリカで重労働を担う中国の方々、だいぶ前から話題になっていて、本にもなっていたよね。日本に来る研修生の人ですら、かなりキツイ労働環境なんじゃないか、って思っちゃうのに。。しかし、受け入れ国側にしてみたら、インフラ整備を安くやってくれるのはいいかもしれないけど、地元への利益も暗黙知的な技術移転も得られないとしたら、どうなんだろうか。。

    現地で子育てをする女性たちと子どもたちは、その後も気になるのぅ。。

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  4. >しゃかとちゃん

    そうそう、その本持ってる!(で、読むの忘れてたのを今思い出しました。ありがとう、笑) そうなんだよねー、やっぱりビジネスはWin-winの関係にもっていかなくちゃいけない。ユニクロがアフリカに進出するらしい、とナムが言ってたんだけれど、もしそれが本当ならば、絶対に地元還元型でやってほしいです。

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