2012年1月21日土曜日

職人的人生

今週は素敵な出会いがありました。

お世話になっている先生のご紹介で出会った方で、3日ほどお世話(というほどでもないけれど)させていただくことになったのですが

ご自身、医学部を出られ、アメリカで免疫学の研究をつまれつつ、臨床も続け、最近では国境なき医師団で紛争地に行かれていた、という優秀な経歴の持ち主であるにも関わらず、いや、むしろそのせいか、

とても謙虚で、優しく、暖かく、ゆったりと、しかし凛とした美しい女性で

私にとっては、年齢でも人生の大先輩な方でしたが、「あぁ、こういう女性になりたいなぁ」と心から思える素敵な女性でした。

私は、仕事への情熱ではなくて、昇進・権力という意味でのアンビションにぎらぎら燃えているような女性がどうも苦手。

彼女のように、肩に力が入らず、おだやかに、ゆったりと、でも心の奥底に一筋の情熱を灯してまっすぐ進んでいくような女性になりたいと改めて思いました。


なんだか最近、「キャリアアップ」という言葉に戸惑いを感じるんだよね。自分のキャリアだけのために仕事をしているような人、を見るにつけ、違和感を感じるんだよね。

私たちは、個人のキャリアアップのためにお給料もらって仕事しているのではないんでないか? 仕事をする目的が、個人のキャリアアップ、だなんて、自分の仕事のカスタマーに失礼ではないか?そもそも、そんな人生、寂しくないか。

医者は病に苦しむ患者のために、公務員は市民の生活の質の向上と維持のために、弁護士は困っている市民のために、土木技師は市民が快適且つ安全に生活できるためのインフラを提供するために、仕事をしているのでは、いや、すべきなのではないのかな。そして、もっと患者さんを助けるための知識と技術を身につけるために、確実に市民を守れるようになるために、カスタマーにより質の高いサービスを提供できるように、さらに勉強をしたり、技術を磨いたり、資格を取ったりする。それが筋なのではないかと。

ときどき「国連で働くためには、何を勉強したら、どんなキャリアパスを取ったらいいのですか?」と聞かれる。「分野は何でもいいから、国連で働きたい」って。そういう人には、私はこう答えてる。

「『国際公務員』になることは目的ではなくて、あくまで目的を達成するための手段の1つに過ぎない。まず自分が情熱を持って一生をささげたいと思える(或いはささげるに値すると思える)専門分野と人生目的(Mission)を見つける。

その目的は、恐らく公務員でも、研究者でも、民間でも、NGOでも、それぞれ異なる形で達成して、社会に貢献することができるはず。そんな中で、どんな立場に属するのが自分にとって最もふさわしいかを見極める。そして、目的をより高い資質で確実に達成できるようになるために、修行を積む。

日々まじめに、こつこつと、修行を積んで、質の高い仕事をしていれば、人も、評価もおのずとついてくるし、ネットワークも自然に広がって、どんどん道は開けていく。そう私は信じてる。」って。

私だって、今はこの機関で働いているし、しばらくはここでやっていこうと思っているけれど(まぁ、いつまで続くかは別にして)、それはこの機関に固執することが目的じゃない。自分のミッションを遂行するために、今は、現職機関が行っている、政策とインフラのグローバルスタンダードを作っていくことの重要性とその影響力の大きさを信じているから。でも、いつかは「政策決定のもとになる科学的根拠を創出する研究者」になっているかもしれないし、或いは、「もっとボトムアップのアクションを作り出していくためNGO」を立ち上げているかもしれないし、はたまた、「色々なアクターがより効率よく情報共有して、タスクシェアをすることによって、世界の動きをAccelerateするためのビジネスモデル」を作っているかもしれない。立ち位置は変わっても、向き合っているミッションは変わらない。

昨夜、友人と話していた。

「1つのことをやり遂げる美しさ」

あっちにもこっちにも手をだすのではなくて、1つの専門分野を極め、一生を情熱をもってそこにかける。そんな職人的人生は美しいと思うし、そういう一生を自分も送りたいな、と思う。

イメージとしては、太い幹がすくっと立っている感じ。そこに関連する枝葉をつけていく。1つのしっかりと太い幹を持っていたら、それを軸に色んなことができるはず。

まぁ、生き方は様々だけどね。少なくともあたくしは、縁あって邁進することになった今の専門分野をもっと太い幹にすべく、まっすぐに進んで生きたいと思います。


・・・・とまじめな話をしたあとに・・・・


今週はもう1つ、私の心を揺るがす出会いがあった!

うふ♪

あたくし、ナム氏が旧正月でハノイに戻っている間に・・・・新たなパートナーをゲットしてしまった♪


晴れて日本車です。日本人がJAPANを応援しなくってどうする、ってことで。

週末に見てたんだけれど、月曜にもう一度会いに行って、恋に落ちて決心。

思ったが吉日(他に色々見て回るのが面倒くさかっただけとも言う)。その場でサインして、木曜に受け取りました。

それから、トヨタガレージ、なぜかシャンパンもくれました。購入したお礼だって。スタッフもみんな感じが良かった(買ってくれる顧客には普通そうでしょ、って思われるかもしれませんが、いえいえ、この国には「サービス」という概念は皆無に近いのであります)。いいぞ、ジャパニーズカンパニー。

「ピッ」って、自動でドアがあきます!自動で窓もあきます!もはや、手でぐりぐり回して開けなくてもいい!「あ~、暑いのに、反対側の窓を開けるハンドルまで手が届かない・・・(ましてや、後ろのドアなんて、絶対に開けられない)」なんていう悲しい蒸し風呂地獄からも解消されます!

ところで、悲しいかな、これまで2年ちょっと一緒に過ごしたミニぼろぼろオペルちゃんは、会えなくスクラップ行きとなりました(号泣)。「あはは、さすがに買えないな」と既に2つのガレージに言われてしまった・・・汗。

これまでありがとう。あの世でも元気でな。いや、むしろ、パーツ、パーツに分解されて、アフリカにでも売られて、あとさらに50年くらい大事にされて、第二の人生を生きていってほしいと心から願うのであります。

あ~、仕事しながら、ニューパートナーが気になって気になって、昨日は1日気もそぞろ(笑)。もっともっと運転したいな~、と新しいおもちゃを手に入れた子供のような気持ちで迎えた、嬉しい週末です。

2012年1月16日月曜日

仕事初めのWeek 1。

仕事始めの1週間は無事終了いたしました。

チームメンバーの多くが今週から仕事開始だったので、ゆっくりとスタートした1週間。このまま、こういう地に足がついた感じで1年間進んで行きたいのであります。

フランスでは1月6日に、ガレット・デ・ロワという、パイ菓子の中に紙の王冠がのっていて、陶器のおもちゃが中に1つだけ隠れているケーキをみんなで切り分けて食べて、陶器のおもちゃが当たった人が王冠をかぶり、幸運が1年間続くということで祝福される伝統があるそうで、われ等がチームでも月曜にみんなでこれを切り分けて食べました。


そしたら、あたくしの歯にがりっと陶器のお人形が当たりました。そしてみんなに「うわー、あやが今年のクイーンだー!!!」と言って王冠を被せられました。今年はいい年になるらしいです。やったね。 これこれ、王冠とBaby キリスト。



ちなみに先週の金曜は食堂に、ガレット・デ・ロワが置かれていて、ただでみんな取って行っていいことになっていたらしいのですが、そのガレット・デ・ロワではなんと、同じチームの某日本人大先輩がクイーンになったらしいです。チームメートから「うちのチームの日本人は今年絶好調らしい」とびびられました。ちなみに、私とその大先輩は、数少ない日本人の中でも配属チームも同じ、誕生日も同じ、実家も隣駅・・・と恐ろしい縁で繋がっているので、「また一緒!」と私自身もびびるのでありました。


今週は初めてオフィスで健康診断もありました。これがまた大変ラフな健康診断で・・・。

血液検査で「HIV検査もやる?」「うーん、無料ならMaybe(貧乏性なもんで)」「MaybeじゃなくてYesかNoかで答えて。」「えっと、じゃあ、Yes」。

これ、後から同僚に話したら、「HIV検査は結果が大きな精神的負担を生みうるから、検査する前には、医師はしっかりとテスト前カウンセリングと、テスト後カウンセリングを提供する義務があるんだよ。そんな、YesかNoかで答えさせるなんて言語道断!」と憤慨していました。たしかに。

尿検査、はよし。

視力検査では、いきなり「この板もって(板の上に、新聞のような記事が色んな大きさで書いてある)、片目隠して、どの大きさまで見えるか言って」と言われ「えっと・・・板と目の距離は・・・?」「適当に。」「・・・」

次、心電図の吸盤を体中につけられ、「最近身長と体重計った?」「えっと、体重は自宅で計ってます。」「いくらだった?」「○○キロ」先生、記録用紙にメモメモ。計らないんかい!

翌日の結果は、健康優良児ということでした。ちょっとした驚きは、ヘモグロビン値が男性並みに多かったこと(14.9でした)。自分は貧血気味だとこれまでの人生信じ込んでいましたが、むしろ多血ぎみ。 水分不足かストレスか。とりあえずは、しっかり水を飲むようにきをつけましゅ。


今年の抱負に忠実に、週末は丁寧にお料理もしました。日々食べているものが私たちの体を作っているということで、「食費はけちらない」、というのがナム氏から命じられた家訓であります。

こくまろカレー。 



ちらし寿司とごぼうのきんぴらと、ナム氏作のつぶ貝スープ。



金曜、ナム氏はベルギーへの出張帰りだったのですが、お土産のベルギービール(大瓶)を1人で飲んで、酔っ払って「なんだか、昔のことが走馬灯のように見えてきた」とか言うので、あせりました。ビールでそんなに酔うなよ・・・(汗)。




週末は、先月3度目の正直でナム氏が運転免許取得に成功したので(これまで、バイク免許しかなかった)、今にもご臨終しそうなマイカーをアップグレードすべく、日本車ガレージを回り(今回はJAPAN応援のため、日本車に絞っているのだす)、色々お勉強いたしました。結局決まらなかったけれど、リースする場合、しない場合、中古車買う場合と新車買う場合、色々バージョンでコストを計算した結果、新品に近い中古車をリースなしで購入する方向に行きそうです。

日曜はひたすら、とある本を読んでいました。この本については、別途書きます。

明日からも早寝早起きで頑張ります。もう寝なくっちゃ(21時)。
みなさまも良い1週間を~。

2012年1月9日月曜日

遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

しばらく冬眠してました(あと、初めてスペインに遊びに行っていました。この話はまたおいおい書きます)。

2011年は世界でも、東北大地震と津波を筆頭に、天災や偉人の死に次々と見舞われた激動の1年でしたが、私自身の歴史にとっても、なかなか特別な1年と言えたかもしれません。

というのも、自分の一番の応援者であったおじいちゃんが永眠しました。それから、心から尊敬し慕っていた職場の同僚が過労死しました。この2人の死は、自分の人生を顧みる大きな機会となりました。

本職では、完全なるワーカホリックでしたが、たくさんのことを学んだし、経験できたし、それなりに成果も出せて、まずまずの充実感を得ることができました。

そして、燃え尽きるまでやりきった結果として、職場での自分の居場所がしっかりと確立できたし、自分を守ってくれる上司・同僚たちに恵まれ、これまではJPOJuniorProfessional Officer)といって、日本政府からの派遣という形での雇用だったのが、2012年 からは我が機関の正規雇用スタッフとなることができました。とはいえ、我が機関は不況に伴うリストラ地獄の真っ只中で、新規採用は完全に凍結されてしまっ ている悲しい状況にあるので、人事ルールの穴を掻い潜った任期つき新規採用なんだけど・・・でも、今もらえるものとしてはベストなので、上司たちに感謝しています。

でも燃え尽きた(?)ゆえに、明日からの仕事、いきたくにゃ~い(泣)。そんな自分に鞭打って、心入れ替えるために、この日記を書いております。

以下、2011年初めに書いた去年の抱負を達成できた順に振り返ってみると・・・

)『伝播』対策の専門性を高める 土壌媒介蠕虫症と住血吸虫症の疾病別の伝播対策の世界戦略策定に、本格的にがっつり取り組むことができた。

) 今年こそハーフマラソン走る!プラハハーフマラソン、走ったど~。

) 本をたくさん読む。→2010年に比べると、意識的に本を読む時間は増やせた。

) フランス語 中級レベルに!わっはっは。まったく進みまへんでした。でも、本職と、本職に関わるお勉強を優先したので、仕方ないべ、と言い訳しておきます。

) 社会活動開始!頭の中で構想は少しずつ暖めつつ、結局実行できず。どうしても仕事優先で、いっぱいいっぱいでした・・・。とほほ。この余裕ができるには、もう少しかかるかな。

さて、2012年の抱負は・・・

1) Exampleとなるように仕事をする

去年までは上司ら何人ものサポートとアドホックな仕事山積みで追われる日々でしたが、今年はしょっぱなから自分の責任下に任されているプロジェクトがいくつ かあります(その中には、誰かに任された訳ではないけれど、プログラム全体を俯瞰して見て思いついて、自分で企画・着手したプロジェクトがいくつかありま す)。これに上司達のサポートとアドホックな仕事が続くので、今年はますます忙殺されることが予想されますが(悪夢です)、楽しみでもあります(かろうじて)。

これを乗り切るために、自分のプロジェクトについては、基本的なことだけれど、

最初に目的地を決め、1年間のスケジュールとマイルストーンを設定して、

しっかり情報共有して、チームワークを育んで、

密かに根回り忘れず(ここポイントね)、

途中途中で進み具合を確認・修正して、眼に見える成果を出す、

という一連の仕事の流れのモデルのようなものを今年確立してみたいと思っています。

) 体力つけて、疲れないパワフルな体づくり

去年は後半から疲れて食欲がなくなって、すると余計疲れて、「常に疲れて、体はバリバリ」という負の体力サイクルに陥っていました。だから、年始から風邪引 いたし。「痩せたよ」とみんなに心配されました。いつしか、疲れきっている私を見かねて、週末はナムが食事をつくるようになっていましたし(これは、ぜひ 続けていただきたく候、えへへ)。

疲 れていると、パワーがあればモリモリやれたであろうに「まぁ、いっか」ってやらないことにしてしまうことが、どうしてもできてしまう。そんなことがないよ うに、常に元気溌剌でいるために、今年は丁寧に暮らして(早寝早起き、毎日よい食材をつかって、ちゃんと料理する)、食べる量も少しずつ増やして、しっか り走りこみたいと思います。

) しゃべるスキル向上

わたしは、昔は初対面でも誰とでも話せる人だったのですが、最近初対面の人と何を話していいのか分からず困ることが出てきました。特に仕事の席でそう。よっ て、会議の後の懇親会が苦手で、同僚たちと固まってしまう・・・。特に前もって準備していないとアワアワしてしまうので、面接も苦手。なんでだろう。思う に、昔は誰にでも人として興味があったし、初対面の人とも会話を作り出す心のゆとりとパワーがあったのではないかと。それを失っている昨今のあたく し・・・。

今年の目標は、誰とでもおしゃべりを楽しめるようになること。このために、

たくさん本を読んで、しっかり遊んで、心の余裕と教養を深め、

日々自分の考えを簡潔にまとめる訓練をして、

意識的に人に話しに行くように努め、

誰にでも興味をもつような好奇心を育みたい

と思います。

) 本職以外のお勉強を着実に進める

教養と語学は一生の課題なり。今年は、去年以上に本をたくさん読みたい(冬眠中に、Amazonで本を大人買いしました。うふふ)。そのためにも、ネットから少しずつ離れて、読書をする時間を意識的に増やしたい2012年であります。

それから、今年前半は、ここ数年続けている2つめの修士課程のお勉強をしっかり終わらせて、後半にフランス語の勉強に移っていきたいです(3度目の正直なるか、わたし・・・)。

あと、去年はだんだん余裕がなくなって、このブログの更新も月1回程度に減ってしまいましたが、今年はもっと日々の生活を顧みて、日記を書けるように、余裕を持って生活したいと思います。

今年も1年よろしくお願いいたします。