2010年5月15日土曜日

スイスの建具士 黒川さん(スイス人です)

今週末は、久々にゆっくりできる、嬉しい土曜日です。

今週は日本からのお客様とのディナーが多かったのですが(来週大きな会議があるので、省庁から人が来ている)、若手官僚さんたちとお話するたびに、みなさんのお国に尽くす真剣さ、深い知識と政治的センス、分析力、外交力を駆使して、世界における日本の立ち居地を確立するために、時間も惜しまず戦略を練っている皆さんの必死な様子に、わたくしは結構心を打たれました。私にもまだまだ勉強すべきことが山のようにあります。

わたしがいま関わっている熱帯病対策をリソースの限られた途上国で推し進めるためにも、またそれに我が日本が貢献できる可能性を見出すためにも、自分は喜んで間をつなぎたい、と思う。

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と熱い思いは置いといて、Namは無事月曜に日本に戻りましたが、Namと一緒に実はとても面白いご夫婦にお会いしました。

自称黒川ご夫婦。

ご夫婦はスイス人なのですが、建築家であるだんな様は、35年前に文部省奨学金を受けて、東工大に留学されていて、その間奥様は津田塾大でドイツ語を教えていたの。で、日本に惚れ込んだわけです。で、その後はアジア各国で建築家としてお仕事されていたのですが、数年前に再び日本の愛媛県内子町を訪れ、建具屋さんに弟子入りして(その間、奥さんは町のおばさんたちを先生に、日本語勉強に励む)、ふすまや障子、雪見窓などの作り方を学び、チューリッヒに戻って、建具士としてアトリエを開いているのです。

ちなみに、黒川ご夫婦は、Namが昔WHOハノイオフィスに勤めていた頃の上司(オーストラリア人建築士)の大の仲良し。「スイスに行ったら、ぜひ連絡とって会いに行って!」と紹介されていたので、早速メールしてみると・・・

「お部屋があるので、ぜひ泊まりにきてください!WASHOKU(和食)の夕飯も用意します!」

と熱いメッセージが。お言葉に甘えて、Nam、私、それに黒川さんご主人の出身校であるETH(チューリッヒ工科大学。スイスの東大のようなもの)にポスドクとして赴任中の友人Kくんと3人で遊びに行ったの。

黒川ご夫婦は、鉄工場を改造したコミュニティーに住んでいます。元工場の中に、一戸一戸デザインの違うおうちや、若手デザイナーのアトリエ、アーティストのアトリエ、カウンセラーさんのアトリエ、建具屋さんのアトリエ、ギャラリー、シアター、体育館、バー、などがあるのです。







黒川氏が建築家としてデザインした黒川家は障子がたくさん(靴紐結んでいるのは、奥様)。



日本風呂もあるの。



焼却炉風にゴミを燃やして火を出すCooker。



虹鱒を暖炉で焼く黒川氏



奥さんお手製の会席料理WASHOKU。これでK君は感動の涙を流しました。
1)前菜



2)メイン



シンプルだけど美味しい朝ご飯



庭は住人みんなで共有



黒川畑。春菊が育っていました。



アーティストによるオブジェ。近所にあるスイス軍訓練所で使った大砲の弾の殻を溶接して作ったそう。



雪見窓つき建具道具入れ(黒川氏作)



若手デザイナーのアトリエ





家のドアも開けっ放しで、コミュニティーの子供たちはみんなで育ててるので、毎日いろんなお家で寝るらしい。車も数台をみんなでシェアしてるんだって。エネルギーはソーラーパワーで。面白いなぁ。

次の2つの写真。奥様が津田塾大学で教えていた頃、ドイツ語の教材を作るにあたって、「男性と女性が出会って、お互いに興味をもって、恋に落ちて、最終的に結婚する」という、出会い系会社の先駆けの広告(ドイツ語)を参考に・・・



若かりし黒川夫婦が同じものを作ったのがこちらです。写真のカップルは全て、若かりし黒川夫婦です。高級感を出すために、35年前に既に高級住宅地であった田園調布の知らん人の家の前とかで、ポーズ決めて写真撮ったりしたそうな(爆笑)。



そんな黒川ご夫婦、お子様がいないのですが、なんとボートピープルとしてヨーロッパに逃れたベトナム人を4人も養子にしていて、既にベトナム人(国籍スイス人)の孫がたくさん。さらに、奥様のお兄さんはK君の所属するラボの元教授だったり、と、みんながどこかで繋がっていて、不思議な縁を感じました。

そして、黒川ご夫婦の、人生をとことん楽しんでいる姿に、私たちも今後の生き方をちょっと考えちゃいましたよ。一度しかない人生だもんね。

黒川ご夫婦、ありがとう!

黒川氏作の建具に興味のある方はこちらへ→

2人が住むコミュニティーはこちら→

ただし、全部ドイツ語です・・・。

4 件のコメント:

  1. ishikawa ayano2010年5月20日 0:37

    このご夫婦、凄い!リンクにも飛んでみましたが、やっぱり凄くて素晴らしい!!ドイツ語が分からないのが悔しいんだけど。。。言葉は分からなくても、写真や作品から、すごく伝わるものがあるね☆
    またステキな笑顔だなぁ~。なんとなく、私の中で”教授”とお呼びしたいような・・・(笑)。
    長屋みたいなコミュニティー含め、こういうライフスタイルって憧れだなぁ。。あっぱれ、黒川教授ご夫妻!です。
    日本名の由来は何なんだろう・・

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  2. >ayanoちゃん

    黒川夫婦、すごいでしょー。ウェブサイトも読めないけど、おしゃれで、だんなさんがすごく可愛らしいよね!丸眼鏡がなんとも言えず、似合いすぎ(笑)。そうだ、たしかに長屋といえば、長屋だね。本当にこちらも頭の中がRefreshされるような出会いでした。ちなみに日本名の由来は、ひとつは、本名(苗字)を日本語に訳すと、本当に「黒+川」なのと、もうひとつは、建築家の黒川紀章にちなんで(どちらも建築家なので)、らしいです。由来もできすぎ(笑)。

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  3. 日本的な要素と、ヨーロッパ(スイス?)の要素のあんばいが、すごく好みだわ〜。
    リンク先の作品も、おもしろかった。
    ハンガーとズボン掛けがいっしょになっているのが、気に入った!

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  4. >みどり

    分かる、分かる。日本とヨーロッパの良いところどり!リンク先の黒川氏の愛らしさが、なんとも言えません(笑)。こうして、日本の伝統の美しさを分かってくれ、心から愛してくれる外国人がいるのは、日本人としても嬉しく、誇らしいことだよね!

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