2011年8月26日金曜日

頑張らない。

日曜日の夜にジュネーブに戻り、今週月曜からオフィスに復帰しています。

今回の日本滞在は2週間心から満喫しました。暑くてお腹はあんまり減らなかったけれど、とにかく2週間仕事はほとんどせず、テレビを見たり、山を歩いたり、買い物したり、だらだらしたり、友達とおしゃべりしたり、本読んだり、通院したり(笑)。仕事脳を完全に休ませることができたと思います。行く前と後では気分が全然違うもの。

正直、ジュネーブには全然戻りたくなく(ホリデー前の数ヶ月の仕事地獄の悪夢が・・・)、高校時代から私を知る友人に「そんなこと言うの、これまでで初めてだね。いつもは、海外のほうがいい!っていう人なのに」と言われるくらいでした。ほんと、そうかもね。今回は日本の素晴らしさ、再発見しまくりでした。

だって、お店の接客でいらっとすることが一度もない!どころか、むしろ「いえいえ、そこまでしていただいて、すみません」とこっちが恐縮する親切さ!

ある朝、アマゾンで本を注文したら、その午後に着いた。そんな国、日本だけだよ!

みんなが「すみません」とやたら謝っている!電車の車掌さんも、レストランの店員さんもみんなみんな!「例え自分が間違ってても、それを認めるな」文化に生活する人間には大変新鮮で、日本って本当に素晴らしいと思いました。

ときに「日本人は謝りすぎなんだよ」ってネガティブに見る人が結構いますが、いいじゃない。自分がそれをよしとしていて、なおかつ、こちらも、相手にけんか腰で来られるよりもずっと良い気分で、むしろ「こっちもすみません」って謝って、問題解決しちゃったりして、最高じゃん?

日本、変だけど、素晴らしいよね。みんなで大切にしたい、天然記念物的国民性だと思います。

実は今回、日本滞在中に、眼の玉に金属片突き刺さり事件以上にショッキングで、私の人生を変えるかもしれない出来事がありました。

大変近しく、職場で最も尊敬して止まなかった大好きな同僚が・・・過労死しました。
彼女は、アフリカ事務所でNTD対策を1人で切り盛りしている、と言っても過言ではない存在で、とにかく1人で一身に全てを背負っていました。ザンビア人なんだけど、イギリスで博士号まで取得して、とても頭が切れるだけでなく、ユーモアにあふれ、各国保健省の政府への敬意を常に忘れず、いつも謙虚で。

要請を受けて、私が地域事務所のサポートを初めて以来、気性が合ったのか、とても仲良くなって。とにかく、その仕事ぶりと人柄に私はとても惹かれ、「次に上司を選べるとしたら、絶対にこの人だ」と信じて疑わず、彼女からも「aYaが来てくれて、どれだけ私が助かっているか。ぜひうちの事務所に出向して、わたしの仕事を手伝って。このままでは私の身が持たないよ。もっても、あと4,5年かな。こんな生活、それ以上は続けられないわよ」と何度も言われていて、いつか必ず実現させようと思っていた。思い立ったら、すぐに実行させないとだめだ。

出張で一緒になっては、おうちに呼んでもらったり、息子くんに観光に連れて行ってもらったり、ホテルのバーで2人で飲んだり。毎日メールのやり取りはかかさず、まるで隣のオフィスにいるかのように、ほぼ毎日電話でもやりあって、一緒に仕事してた。とても暖かい人で、かつ信念をもって仕事をしている人だった。

彼女は子供のように笑う人で、彼女の笑いのつぼを押さえてからは、わたしは、彼女を冗談で笑わせるのが日課になっていたし、それが大好きだった。

いつもは21時に寝て、朝5時に起きる、みたいな生活をしている人なんだけど、出張で私が23時に到着、なんてときも必ず私がホテルの部屋に到着するまで起きて見届けて、「aYaになにかあったら、私の責任!」って本当に可愛がってもらった。

彼女が突然あの世に立つ数日前(それは、私が日本に発つ数日前でもある)にも電話で、ホリデー中の仕事の割り振りを確認したところ。

それが、私が日本に発った朝、彼女は眼を覚まさなかったらしい。

おじいちゃんの初盆で日本に戻っていたのに、初盆の朝にそのニュースをメールで読んで(ジュネーブから電話もあったし)、ショックで、おじいちゃんのことは頭から吹っ飛んだ。初盆の間も彼女のことばかり考えてしまった。

わたしが、本部の意向を振り切って、地域事務所へ行って彼女を少しでも早く助けてあげていたら。

1ヶ月前に彼女がジュネーブに出張で来たときに、頭が痛い、というから、クリニックに連れて行ったのも私だった。あのとき、頭痛、で済ませずにちゃんとチェックを受けていたら(ちなみに、そのとき彼女は、初めて旦那さんを連れてきていたので「ハネムーンだね、ひゅーひゅー」ってからかった。それが最後の夫婦旅行になるなんて、許せん)。
後悔、後悔。その後、2週間は仕事をする気に全くならず。

オフィスに戻ってみたら、なんとなくチームの様子が変わってた。死んだら仕方ない。明日はわが身、ってみんなが気づいたみたい。いつも猛烈に仕事をふってくる先輩も、スローダウンしてる。いつ何があってもいいように、って、オフィスのファイル整理もしてた。普段は「頑張って」が合言葉なのに、昨日は「先生、頑張りすぎたら、だめです」って言ってしまった。すごい変化。

そんな私も、生きかた、仕事の仕方、選び方、色々考えさせられた。

もうちょっと頑張らないで生きようと思いました。死んだら、まじでしょうがない。死んだら、全てが終りです。死んだら、残された人はどうやって穴埋めしたらいいのか。彼女には、精神障害のある娘さんもいる。年老いたお母さんもいる。誰が面倒みるのか。

実は日本に帰ったとき、私より6歳年下にも関わらず、数年前に過労で脳梗塞を起こした友人と飲んだ。人間、まじで何があるか分からんぜよ。みくびっちゃいかん。頭痛を軽視しちゃいかん。

そんなわけで、今週は今のところ、毎日19時には家に戻るようにし、さらに時差をフル活用して、21時就寝、5時起床の健康生活を送っています(まだ4日目だけど)。ずっと続けたいけど、既に金曜夜にご飯に呼ばれているから、そこまでかな。

Likezo、忘れないよ。You are my hero, forever.

14 件のコメント:

  1. そんなことがあったのですね…。
    aYaちゃんがそんなに思うなんて、とても素敵な方だったのですね。お会いしたことないけれど、エピソードを読むにつけ、ほんとに残念なことだと思います。ご家族も、ご自身も、まだまだこれからでしょうに。。

    優秀で、お仕事できる責任感が強い人は忙しくなってしまうと思います。きっと、どんな場所(職場)にいてもそうだと思います。

    aYaちゃんは、体とワーク・ライフ・バランスを大切にしてね。

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  2. ショックだったね。
    ほんと、いくらいい仕事していても、死んだらおしまいだもんね。
    Likezoさん、これからは天国から見ててくれるよ。
    aYaちゃんが、頑張りすぎてたら、ほどほどにせんかいっ!ってきっと伝えてくれるんじゃない?

    そういえば、日本にいると「すみません」がよく聞こえてくるね。
    その「すみません」を「ありがとう」に置き換えたら?みたいな記事を昔
    書いたことあるけど、外からの見方だったのかなあ。日本はそのままで
    いいのかしら。

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  3. 体が資本だよね、ほんと。何やるにしても。
    やろうと思えばいくらでもやることはあるんだけど、そしてやらないと良心が痛むこともあるんだけど、
    敢えて心を鬼にして、やらないことを選択することも必要だよね。
    だって、倒れたら何にもならないもの。
    仕事に命を捧げた、って称賛する人もいるかもしれないけど、
    家族や周りの友人は、とっても悲しいと思うから。

    適度にバランスとりつつ、ぼちぼちやっていこうね。

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  4. 彼女がどんな気持ちでこの世を去ったかと思うと本当に胸がつまります。どうかご家族やお友達が彼女の遺志を受け継いで、前に進んでいけますように・・

    頑張りすぎず、健康第一で生きていこう。

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  5. 怪我だけでなく、同僚の方の死は衝撃です。そして、悲しい。本当に素晴らしい人だったんだね。

    仕事は穴埋めしてくれる人が必ずいるけど、家族はいません。常にそう思ってるけど、責任感が強い人には、なかなか難しい。私はがんばるラインを決めることにしています。「やるべき努力はする。しかし、結果は自然に任せる。」

    自分のしたいことを一生懸命にそして確実に進めていくあやちゃん。彼女の死は悲しいけど、それはあやちゃんの生涯にとって何かを示唆しているかも?と思った私です。

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  6. >しゃかとちゃん

    そう、実はいわなかったけど、そんなことがあったのですよ(過労死の話なんか、暗くなっちゃうじゃん)。去年は同僚の友人(同じ機関にお勤め)も、私たちと年齢変わらないのに、出張でエコノミー症候群になって突然死したんだよね。4歳の娘さん残して。日本のうつ病になる人多いけどさ、日本人は特にワーク・ライフバランスをとるのが下手で、若さと健康を軽視しすぎる傾向があるから、きをつけなくちゃね。しゃかとうちゃんもだよ!

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  7. >じゅんじゅん

    いまだに信じられないよー。彼女なきあと、アフリカ事務所から人(→わたし。。。)を送ってくれ、って言われてるんだけど、いま私がいっても、それをサポートする体制がなかったら、Likezoの二の舞じゃん!ってResistしております。。

    そうそう、日本ね。たしかに「すみません」を「ありがとう」にしたらいい、ってよく聞くね。それもいいかも。でも、本質的にその裏にある気持ちが似たようなものなら、無理に欧米的になんでもかんでも「ありがとう」って言わなくても、日本は日本の美しい文化と習慣を独自に守ってもいいんじゃないかなぁと思ったり。実際に日本って、「ありがとう」って言う言葉もたくさん聞くと思ったよ。スイスなんか全然きかない・・。

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  8. >ぽちくん

    コメントありがとう。うん、Noと言えない日本人だから、ついついやりすぎちゃうんだけど(苦笑)、Noといえるだけの資質と自信と強さを持たなくちゃいけないなぁと思ったよ。そして、自分で全部背負うんじゃなく、周りにもできるだけ頼って、仕事も知識もシェア・継承して、チームとしてやっていくことが、いかに重要かを再認識しました(うちの機関って、個人プレーしている人が多いから)。でも難しいよね。どこまでやるかを見極めるって。

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  9. >Kuniちゃん

    悲しいことです。うちの機関はご存知のとおり、最近不況だからさ、リストラが進む、数少ない残りの人々の仕事量はどんどん増え、中でも責任感のある2割くらいの人にばかり仕事が集中するという悪循環(苦笑)。日本人はとくに、もっと効率的に仕事をする方法を学ばなくちゃいかんと思います。要領のよさも、人間として必要だなぁ、とも思いました。ちょっと、周りのイタリア人スタッフたちを見習おうかな、なんてね(笑)。

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  10. >Doydoyさん

    そうなんです。自分の人生に起こることにはすべて意味がある、と考える主義のわたしなもんで、今回の彼女の死も何かを示唆しているとしか考えられない。思わず、今後の自分の人生について計画しなおしちゃいました。

    自分がどんなに、死ぬ気でがんばっても、たかだか自分ひとりでできることなんて限られている、それよりも、一人でやらないで、周りを少しずつ動かして、知識と経験をどんどん共有・継承して、みんなで小さな一歩を歩めば、もっともっと大きなことができる、と。そして、自分、家族、周りのみんなが「犠牲」にならず、面白がって楽しんで、なおかつ社会貢献できるような人生を歩めたら、と思ったのでした。でっきるっかなー。

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  11. 同僚の方のご冥福を心よりお祈りします。
    残されたご家族のことを思うと、胸が苦しくなるね・・・。

    ワーク・ライフバランスは本当に大切だよね。
    俳優のマネージャー時代に、オーバーワークで心身を壊して以来、まずは自分の健康第一、と思って仕事をしているよ。
    同じ職場の人から見ると私は怠け者かもしれないな~、ってくらいユルユル働いてる。
    でも、また心身が壊れてしまうのが怖くて。
    日本人の変な習慣で「長期休みを取りづらい」とか、「周囲が休んでないのに自分だけ休めない」とか・・・そういうのはもう無視して、自分のペースでちゃんと休むようにしてる!

    生きてこそ、だね。
    aYaちゃんも健康生活続けて、がんばりすぎないんだよ~。

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  12. >ayalaughちゃん

    おぉぉぉ、ayalaughちゃんが仕事を変えた原因って、それだったんだ!だって、本当に忙しそうだったもんね。でも、それは心が「もうだめだ~」って叫んでくれてよかったよ。そして、その叫びに気づいて、ちゃんと仕事をやめて静養してよかったよ。そのまま続けていたら、過労死だよ。

    日本人って「死ぬ気で頑張ること」が美徳となっているような気がするけれど、それで欝になる人が増えまくっている時点で、明らかにバランスが崩れているんだから、軌道修正しなくちゃだめです。じゃないと、国が滅びる。そして、きっと私たちの世代って、それができる世代だと思うんだよね。死ぬ気で働いた世代に育てられ、それと同時に自由に海外に出て行けるようになって、日本人とは違う「もっと人生を楽しむ」価値観の存在を知ってる。だから、ayalaughちゃんの新しい生きかたは正しいと思うよ。ほんと、「生きてこそ」だね。

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  13. aYaちゃん、お久しぶり。
    いつも携帯から読ませてもらっててなかなかコメントできずにいたよ。
    今回のは本当に心が痛くなったよ~
    私の職場の人も去年の9月に働きすぎて、ストレスが溜まり、お酒をやめられず、身体を壊して亡くなりました。
    3人もお子さんいて(一番下は小学生)奥さんも呆然としてた。
    もともとお酒で身体壊していたけどやめられず、いつどうなってもおかしくはない状態だったんだけどね。
    でも家族はとても大切にしていて、みんなパパが大好きだった。じゃあどうして家族のために身体を大切にしなかったんだろうって怒りとかやるせなさが残ったけど、後悔先に立たず。。
    亡くなってしまったら怒りもぶつけられない。
    いくら意義のある仕事でも人生を棒に振って家族を悲しませるくらいならそんな仕事投げてしまえ!と思うよ。

    お互い、新しい家族を大切に、いい人生を送ろうね。

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  14. >はなみずきちゃん

    コメントありがとう。その方の死、もしかしたら、はなみずきちゃんがいつか日記に書いていた方じゃないかな。だんなさんの仲の良かった方という。
    「いくら意義のある仕事でも人生を棒に振って家族を悲しませるくらいならそんな仕事投げてしまえ!」っていうのは本当で、私も最近、「自分の周りにいる人々をHappyにできない人が、世界の人々をHappyになんかできない」って思ってる。自己管理ができてこそ、仕事も効果的にできるはず。その自己管理には、「家族を守る」という重要な任務を遂行するための自己管理も入っている。

    とはいえ、もしかしたら、日本の社会では若い人が「No」と言いにくい、ということもあるかもしれない。私たちの世代が、「責任をもって仕事をするために『No』と言う」ことができる社会に少しずつ変えていけたらなぁ、と思います。

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